開田村の昔話


『縁結びの木』  (開田村に伝わる悲恋ものがたり)

小作
の息子、太蔵は末川村で評判の正直者です。
また地主の娘、おたきは内気ですが、 気だてのやさしい娘でした。
二人はいつの頃からかお互いに思いを寄せ合うようになり、 時々人目をしのんで逢うようになりました。
二人のことが世間に知れると、両方の親達は、「何という はずかしい事だ」と 二人を いましめました。

この村には、仲の良くなった若い男女の間に【嫁ぬすみ】という婚姻の風俗がありま したが、地主の娘と、小作のせがれでは、ぬすみあうことも出来ません。 身分の違う者どうしはいっしょになれないという不文律が二人を悩まし苦しめました。

秋も深まり御嶽山が新雪でおおわれるようになったある日、遂に二人は示し合わせて家をぬけでて、地蔵峠の中程で落ち合い、手をとりあって峠の頂上に向かいました。
その時、急に激しく降り出した雪にさえぎられて、二人は頂上の一歩手前で倒れてしまいました。二人は無言で抱き合い、まんじりともせず その場に座りこんでしまったの です。
降りしきる雪は二人をおおい、二人は、深いねむりにおちたまま、遂におきあが りませんでした


村人の必死の捜索も、何等の手がかりのないまま春をむかえました。
峠の雪が解けた時、村人はここに、みきとみき、枝と枝が固く結びあった不思議な二本のかえでの木をみつけました。そしてその根元には、太蔵とおたきの着物があったのです。

それ以来、村人はこのかえでの木縁結びの木と名付け、相愛の若い男女が、しめ縄 を結びつけたりして、一緒になれるように祈りました。

*この内容は開田村役場の了承のもと、"開田村指定文化財”より引用掲載しています。転写はご遠慮ください。

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